◆冷え症を改善する温灸◆

 

最近、肌寒い日が続いていますが、身体が冷えてきていませんか。

そこで、冷え対策として温灸のご紹介をしたいと思います。

 

冷えると何故良くないのか?

まずは冷えが何故良くないのかをまとめたいと思います。「風邪は万病の元」と言います。この風邪とはいわゆる「カゼ」ではなく「ふうじゃ」と呼びます。「風にあたり身体が冷えるとあらゆる病気の元になる」ということを言った言葉です。このように冷えがあると病気になりやすいことは、大昔から言われていました。

 

身体が冷えると免疫力が下がる

冷えが万病の元としてまず考えられる理由が免疫力の低下です。体温が1度下がると免疫力が30%ダウンすると言われています。免疫は身体の外から入ってくる細菌やウィルスをやっつける働きとともに、体の中で出来た老廃物を除去する働きがあります。

 

「免疫力が下がるとどうなるか」、私はいつも例えで「川を考えて下さい」と言っています。川で浄化する能力が高いところであれば、清流のようにキレイにながれていきます。しかし川の中にゴミが増えてきた上に浄化する力が弱くなれば、川はどんどん濁っていき腐敗し悪臭を放っていきます。どちらが健康的に見えるでしょうか。もちろん清流のようにキレイな流れが出来た方が良いですよね。ここでいう川とは体の中の血管であり、リンパであり、組織液、細胞質のことです。浄化する力が免疫力です。

 

免疫力を働かせる為に必要な体温

では免疫力を高めるにはどうすれば良いのかというと、今回のテーマでもある「身体を温める」という事です。カゼをひくと、体温が高くなりますよね。これは体温を上げる事で免疫の働きやすい環境作り、外から入ってきた細菌やウィルスを早急に撃退するという意味があります。しかし最近では平熱が35度台という方も多くおられます。理想の平熱は36.5度と言われます。これから体温が下がっていくとその分だけ、免疫の働きが悪くなっていくのです。

 

冷えると活性酸素が増えやすい

冷えると活性酸素が増えやすくなります。活性酸素を出す物の1つにミトコンドリアがあります。ミトコンドリアは体の中でエネルギーを作り出し、様々な生命反応を支える大切な働きがあります。このエネルギーを作る時に副産物として活性酸素が出てきてしまうのです。活性酸素はSODという酵素の働きで無毒化されるのですが問題は冷えがあると酵素の働きが悪くなるのでSODの働きも下がる傾向にあります。また細胞内にあるミトコンドリアも古くなるとエネルギーを作る力が下がり、逆に活性酸素が出来やすくなるといわれています。

 

冷えは不妊にも影響する

冷えは免疫力が下がり感染症や老廃物が溜まるだけでなく、不妊になりやすい体になるとも言われています。身体が冷えるとまず生命維持をする為に体は最も大切な心臓や脳へ血流を集中させるように働きます。そうすると末梢の血液循環が悪くなっていきます。子宮や卵巣も自分の生命を保つ上では順位は低いので、体が冷えることで循環が悪くなります。これにより血流に運ばれるホルモンの働きが悪くなり、卵子や子宮内膜に悪い影響を与えることになります。

 

冷え対策として有効な温灸

冷え性対策として温灸をおすすめしています。温灸の良いところはお灸のように強い熱さはなく、「気持ち良いと感じる程度の温度」になるという所です。熱いのが苦手な方でも安心してできるのが人気です。温灸は熱が出る口の幅が広いため、ツボが分からない方でも大体の場所に置けば良いので鍼灸師でなくても使いやすくなっています。

 

温灸の遠赤外線の力

温灸の良いところは、遠赤外線がでているという所です。遠赤外線の働きは、リラックス効果と身体からの放熱を抑えるという事です。リラックス効果で気持ちが落ち着き、放熱を抑える効果で熱がしっかりと体の中まで浸透していきます。この効果で温灸が終わった後も体がリラックスして、ポカポカした感じがしばらく続きます。ホッカイロや湯たんぽ等で温めた時とは異なり、「温かさが残る」のが特徴です。

 

温めると良いツボ

同じ冷え症でも体質によって体を温める場所は変わってきますが、代表的なツボをご紹介していきたいと思います。

 

三陰交

場所…足の内くるぶしから指4本分上がったところ。

効能:胃腸の機能を高めて水の代謝を上げ余分な水を出す。

三陰交は女三里ともいわれ女性にはとても良いと言われるツボです。

子宝の方は高温期に入ると子宮を動かす働きがあるのであまり触らない方が良いです。しかし、妊娠して安定期に入ると「三陰交を温めると安産になる」と言われているので、切迫流産などの危険が無い場合は温めると良いと思います。

 

大椎

場所…頸椎で首を前に倒したときに一番出るところ

効能:感染症を抑える

大椎は陽経が集まる所で、ここを温めるだけで全身が温まると言われている場所。 マフラーを首に巻くだけで温かさが全然違いますが、首元の温度が変わると体はその温度に調節する働きがあります。また風門などのような風邪が入ってくる場所も近く定喘といわれる咳止めのツボがあり、風邪のひき初めに大椎を温めるとカゼの症状が治まります。